最近の労使間トラブルに関する裁判例


裁判例6:ホストの労働者性

東京地方裁判所平成28年3月25日判決(判例タイムズ1431号202頁)

 本件は、被告が経営するホストクラブに勤務していた原告が、被告と雇用契約を締結していたと主張して、被告に対し未払賃金等を請求する事案である。東京地裁は、①ホストの収入は売上に応じて決定され勤務時間との関連性が薄いこと、②出勤時間はあるが客の都合(同伴出勤)が優先され、時間的拘束が強いとはいえないこと、③ホストは接客に必要な衣装等を自腹で準備していること、④内勤の従業員は固定給であり、家族手当、交通 費の支給があり、社会保険料の控除もあるが、ホストはいずれもない。⑤ミーティングは月1回行われているが、報告が主たるものである。

 以上によれば、ホストは被告から指揮命令を受ける関係にあるとはいえず、ホストは自営業者と認めるのが相当である。

 以上のとおり、ホストは自営業者であり、原告被告間に雇用契約締結の事実は認められないことから、雇用契約であることを前提とする原告の未払賃金請求などは、その前提を 欠くとして、原告の請求を棄却した。