最近の労使間トラブルに関する裁判例


裁判例35:過重労働と自殺

大阪地方裁判所平成30年3月1日判決(判例タイムズ1452号155頁)

     本件は、飲食店の店長が過重労働の後、うつ病を発症し、その後、自殺したところ、その相続人が勤務会社及び同社の役員に対して損害賠償請求をした事案である。

   「本件認定基準においては1か月以上の連続勤務を行っていれば業務による心理的負荷が強度とされる」「さらに」「本件認定基準では発病直前の連続した3か月間において1月当たり100時間以上の時間外労働に従事したときは業務による心理的負荷が強度とされる」「本件疾病を発病するその他の原因がうかがわれない限り」「業務による強い心理的負荷を原因として本件疾病を発病し」「それにより自殺に至ったと認めるのが相当である。」「労働者の労務管理は会社経営に当たっての重要事項であり、会社経営を委任された取締役は、善管注意義務により従業員の労働時間等の労働条件についての重要な事項を定め、かつ、それが社内で履行されていることについての監視・監督責任を負う。」として、原告の請求を一部認容した。