最近の労使間トラブルに関する裁判例


裁判例48: 休職期間中のテスト出勤における作業と賃金請求

名古屋高等裁判所平成30年6月26日判決(判例タイムズ1462号40頁)

 

 本件は、精神疾病による休職期間が満了し解職となった元従業員が、満了前に治癒しており解職は無効との主張とともに、テスト出勤(職場復帰のための軽めの試し出勤)における作業は、労働契約上の労務提供に当たるとして賃金の支払いを求めたものである。第一審は請求を棄却したため、元従業員は控訴し、それにあわせて、仮に契約上の労務提供に当たらないとしても、最低賃金額相当の賃金支払いを求めるとの請求を追加した。

 

 控訴審は、治癒による解職の無効は認定せず、また、契約上の賃金支払いに関しても、テスト出勤についての無給合意や傷病手当の存在を理由に否定した。その一方、最低賃金相当額の支払いについては以下の理由で認めた。

 

 テスト出勤が「単に求職者のリハビリのみを目的として行われるものではなく、職場復帰の可否の判断をも目的として行われる」点に鑑みると、「休職者は、事実上」テスト出勤において「業務を命じられた場合にそれを拒否することは困難な状況にあるといえるから、単に本来の業務に比べ軽易な作業であるからといって賃金請求権が発生しないとまではいえず、当該作業が使用者の指示に従って行われ、その作業の成果を使用者が享受しているような場合等には」当該作業は労働契約法11条の「労働」にあたり、無給合意にかかわらず、テスト出勤について「最低賃金と同様の定めがされたものとされて、これが契約内容となり(最低賃金法4条2項)、賃金請求権が発生す」る。