質問:昨年、父が亡くなりました。相続人は母と私と弟の3名です。父は事業をしておりましたので、事業に関する資産の他に、事業に関する借金もありました。遺産分割協議の結果、私が事業を引き継ぐことになり、事業に関する債務もすべて引き継ぐことになりました。遺産分割協議書の中に私がすべての債務を負担する条項を入れる場合の留意点は何ですか。
回答:相続人間では有効ですが、債権者には対抗できません。
特定の相続人に被相続人の債務をすべて承継させる内容の遺産分割も相続人間では有効ですが、債権者には対抗できません。債権者は、各相続人に対して法定相続分の割合に応じた請求ができます。そこで、事前に、債務者の変更(債務の引受け)に関して債権者の同意を得ることを試み、債権者の同意が得られなければ、相続人間で、請求のリスクについて認識を共有しておく必要があるでしょう。