不動産トラブルに関するよくある質問

Q6:経営が悪化し建築工事が続行できなくなりました。途中までの工事代金を請求できますか?


質問:途中まで工事をしたのに・・・

当社はマンションの建設を受注しましたが、経営が急激に悪化し、下請けに対する支払いができなくなり、マンション建設が中断し、その結果、発注者より、当社の債務不履行を理由に工事請負契約を解除され、損害賠償請求をされております。当社は、逆に、発注者に対し、既施工部分の報酬を請求できるのでしょうか。

回答:原則、既施工部分の報酬を請求することができます。

最高裁昭和56年2月17日判決は「建物その他土地の工作物の工事請負契約につき、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に右契約を解除する場合において、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、特段の事情のない限り、既施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない」と判示しております。そして、工事内容の可分性については、工事対象建物の構造等によるのではなく、出来高報酬の問題として、報酬を算定し得ることを意味すると考えられます(判例タイムズ1176号100頁参照)。したがって、施工業者は、原則として、既施工部分の報酬を請求することができます。