不動産トラブルに関するよくある質問

Q9:注文者から期限までに中間金の支払いがありません。注文者との合意で工事を途中終了した場合、途中までの工事代金を請求できますか?


質問:途中まで工事をしたのに・・・(その3)

当社は、商業ビルの建築工事を受注し、工事を進めてきましたが、発注会社から期限までに中間金の支払いがありませんでした。発注会社に事情を聞いたところ、都合により建築をストップしてもらいたいとのことでした。そこで、発注会社との間で建物建築請負契約を合意解除しましたが、既施工部分の出来高報酬について取決めをしませんでした。既施工部分の出来高報酬を請求できるでしょうか。

回答:原則、既施工部分の報酬を請求することができます。

東京高裁昭和46年2月25日判決は「有償である請負契約を締結し仕事の完成を託した以上、たとえ工事の中途で請負契約を合意解除してもすでになされた仕事を基礎としその上に継続してさらに自ら施工し、もしくは他人をして施工せしめ、当初の仕事を完成したような場合は、すでに施工した出来高に対しいささかも報酬を支払わないでもよいとすることは、当事者の意思にかなうゆえんではなく、むしろ反対の意思表示をしないかぎり、注文者は請負人の仕事の成果を取得利用することによって利益を得るものというべきであるから、請負人の施工した出来高に応じて、相当の報酬を支払うべきものと解するのが少なくとも請負契約を合意解除した当事者の趣旨に適合する」と判示しております。既施工部分が注文者にとって利益となるのであれば、合意解除の意思表示は未施工部分のみを対象とし、既施工部分について相当報酬を支払う趣旨であると解釈できる場合が多いと思われます。