最近の労使間トラブルに関する裁判例


裁判例19:能力不足を理由とする解雇の有効性

東京地方裁判所平成28年3月28日判決(ジュリスト1505号237頁)
 本件は、外資系の大企業に期間の定めなく雇用されていた者が、業績不良を理由として解雇されたことは解雇権の濫用にあたるとして、労働契約上の地位確認等を求めた事案である。

 東京地方裁判所は、以下のとおり判示した。

 業績不良は認められるものの、相対評価での低評価が続いても解雇の理由に足りる業績不良があると認められるわけではない。また、職種や勤務地の限定がなく配置転換もされてきたことからすると、現在の担当業務に関して業績不良があるとしても、その適性に合った職種への転換や業務内容に見合った職位への降格、一定期間内に業績改善が見られなかった場合の解雇の可能性をより具体的に伝えた上での更なる業績改善の機会の付与などの手段を講じることなく行われた本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきである。