最近の労使間トラブルに関する裁判例


裁判例64: 有期労働契約の期間満了による終了と解雇

 最高裁判所令和元年11月7日判決(判例タイムズ1469号52頁)

 

 本件は、1年毎に繰り返されてきた有期労働契約を、中途で解雇された原告が、解雇無効を主張して、被告会社に対し、労働契約上の地位確認と解雇の日以降の賃金を請求した事案である。控訴審までは、労働契約法17条1項の解釈に照らして解雇を無効と判断して原告を勝訴させていたため、被告が上告。

 

 裁判所は、以下のように述べて、控訴審判断を破棄し、控訴審に差戻した。

 

 まず、原審までの事実認定経過を述べたうえで、「最後の更新後の本件労働契約の契約期間は…平成26年4月1日から平成27年3月31日までであるところ、第1審口頭弁論終結時において、上記契約が終了していたことは明らかであるから、第1審は…この事実をしんしゃくする必要があった」と指摘する。

 

次に、原審が、被告がこの段階で契約期間満了を主張したことを、時機に遅れた主張として却下したことに対し、「第1審がしんしゃくすべきであった事実を上告人が原審において指摘することが時機に遅れた攻撃防御方法の提出に当たるということはでき」ないと指摘する。

 

 そのうえで、「原審は、最後の更新後の本件労働契約の契約期間が満了した事実をしんしゃくせず、上記契約期間の満了により本件労働契約の終了の効果が発生するか否かを判断することなく、原審口頭弁論終結時における被上告人の労働契約上の地位の確認及び上記契約期間の満了後の賃金の支請求を認容しており、上記の点について判断を遺脱したものである。」とした。