不動産トラブルに関するよくある質問

Q38:Q37の観点に関して、地盤調査が本工事に含まれるか否かが問題となった裁判例にはどのようなものがありますか。


回答:東京地方裁判所平成20年4月18日判決があります。この裁判例は、賃貸用建物の新築工事において、被告(注文者)が、地質調査について、本件ビルの基礎工事のために当然に予定されていたものであり、契約書に明示の記載がなくても実施すべきものと主張した事案において、①設計図面において「地質調査資料は無し、調査予定は有り」と記載されていること、②見積書中には、別途工事として地盤調査は挙げられていないが、地盤調査費用は個別に見積もられていないこと、地盤調査費用の見積書を提出したことなどを認定した上で、本工事に地盤調査は含まれていなかったと解し、地盤調査は建築工事の前提として不可欠かつ有益な作業であることからすれば、少なくとも黙示的に相当代金による追加工事の合意があったと認め、被告の上記主張については、地盤調査は設計の前段階において行うべきものであり、当然に基礎工事に含まれるということはできないとして排斥した。