民事再生法の条文ポイント

第42条(営業等の譲渡)


1 再生手続開始後において、再生債務者等が再生債務者の営業又は事業の全部又は重要な一部の譲渡をするには、裁判所の許可を得なければならない。この場合において、裁判所は、当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合に限り、許可することができる。

2 裁判所は、前項の許可をする場合には、知れている再生債権者(省略)の意見を聴かなければならない。ただし、第117条第2項に規定する債権者委員会があるときは、 その意見を聴けば足りる。

3 裁判所は、第1項の許可をする場合には、労働組合等の意見を聴かなければならない 。

4 前条第2項の規定は、第1項の許可を得ないでした行為について準用する。

ポイント解説: 

 営業等の譲渡は、法41条1項1号の「財産の処分」に該当する。本条1項は、再生手続中の営業等の譲渡を裁判所の必要的許可事項とした規定であり、法41条1項の特則である。

 法43条は、再生債務者が株式会社の場合に事業の全部又は重要な一部の譲渡を行うために本来必要とされる株主総会の特別決議について、再生債務者が債務超過である場合に限って、裁判所による株主総会決議に代わる許可(代替許可)によることを認めたものである。したがって、法43条は、営業等の譲渡一般に適用される本条とは異なる趣旨に基づくものであって、法43条が適用される場合には、法43条に加え本条も重畳的に適用されるという関係にある。

 本条の営業等の譲渡は、監督委員の同意事項(54条2項)の対象には含まれないものと考えられる。監督委員を監督する立場の裁判所が営業等の譲渡の是非を直接判断する以上、重ねて監督委員の同意を要する扱いをすることは有害無益だからである。