東京地方裁判所平成29年9月14日判決(判タ1449号174頁)
本件は、日本郵便株式会社(被告)との間で、有期労働契約を締結した原告らが、無期労働契約を締結している正社員と同一の業務に従事しながら、手当等の労働条件について正社員と差異があることを労働契約法20条に違反するといて、損害賠償などを求めた事案である。
東京地方裁判所は、以下のように判示して、一部損害賠償請求を認めた。
「新一役職に対しては、転居を伴う可能性のある人事異動等が予定されていないにもかかわらず、住居手当が支給されているところ、同じく転居を伴う配置転換等のない時給制契約社員に対して住居手当が全く支給されていないことは、先に述べた人事施策上の合理性等の事情を考慮に入れても、合理的な理由のある相違ということはできない。もっとも、正社員に対する住宅手当の給付は、住居費の負担を軽減することにより正社員の福利厚生を図り、長期的な勤務に対する動機付けを行う意味も有することからすると、正社員のように長期間の雇用が制度上予定されていない時給制契約社員に対する住居手当の額が、正社員と同額でなければ不合理であるとまではいえないというべきである。」
「病気休暇が労働者の健康保持のための制度であることに照らせば、時給制契約社員に対しては、契約更新を重ねて全体としての勤務期間がどれだけ長期間になった場合であっても、有給の病気休暇が全く付与されないことは、前判示に係る職務の内容等の違い等に関する諸事情を考慮しても、合理的理由があるということはできない。」