1裁判所は、再生手続開始後において、必要があると認めるときは、再生債務者等が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。
一 財産の処分
二 財産の譲受け
三 借財
四 第49条第1項の規定による契約の解除
五 訴えの提起
六 和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)
七 権利の放棄
八 共益債権、一般優先債権又は第52条に規定する取戻権の承認
九 別除権の目的である財産の受戻し
十 その他裁判所の指定する行為
2 前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
ポイント解説:
実務では、原則として、監督委員が選任され(東京地方裁判所では、ほぼ全件について監督委員が選任されている。)、本条1項の要許可事項の多くが、監督委員の要同意事項として監督命令に記載され、監督委員の同意が得られれば、別途裁判所の許可を必要としない運用となっている。
10号の例として検討されるのは、再生計画によらない会社分割である。会社分割の実質は、事業譲渡(42条で裁判所の要許可事項である。)と変わらず会社の重要な財産処分という一面を有しているが、事業譲渡のような明文規定がない。東京地方裁判所では、開始決定の主文に「再生債務者が会社分割(再生計画による場合を除く。)をするには、 当裁判所の許可を得なければならない。」との文言を記載している。