令和3年4月16日判決(判例タイムズ1488号121頁)
「前訴では、受訴裁判所によって前件本訴に係る請求についての抗弁等として取り上げられることはなかったものの、上告人は、本件遺言が有効であると主張していたのであり、前訴反訴に関しては本件遺言が無効であることを前提とする前件本訴に対応して提起したにすぎない旨述べていたものである。これらの事情に照らせば、被上告人において、自らがAの遺産について相続分を有することが前訴で決着したと信頼し、又は、上告人により今後本件遺言が有効であると主張されることはないであろうと信頼したとしても、これらの信頼は合理的なものであるとはいえない。」「以上によれば、本件訴え(遺言の有効確認の訴え)の提起が信義則に反するとはいえない。」