近時の重要判例


宅建業と名義貸し

最高裁判所令和3年6月29日判決(判例タイムズ1493号17頁)

「宅建業者が無免許者にその名義を貸し、無免許者が当該名義を用いて宅地建物取引業を営む行為は、同法12条1項及び13条1項に違反し、同法の採用する免許制度を潜脱するものであって、反社会性の強いものというべきである。そうすると、無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者との間でするその名義を借りる旨の合意は、同法12条1項及び13条1項の趣旨に反し、公序良俗に反するものであり、これと併せて、宅建業者の名義を借りてされた取引による利益の分配をする旨の合意がされた場合、当該合意は、名義を借りる旨の合意と一体のものとみるべきである。

したがって、無免許者が宅地建物取引業を営むために宅建業者から名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は、同法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものとして、公序良俗に反し、無効であるとういうべきである。」

※宅建業法12条1項「第3条第1項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。」

同法第13条第1項「宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない。」