最高裁判所平成28年2月19日判決(判例タイムズ1428号16頁)
就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意(労働契約法9条)の有無については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為(例 同意する旨の署名押印)の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものとし、同意書への署名押印に至った経緯等について十分に考慮せず、退職金一覧表の提示を受けていたことなどから直ちに、署名押印をもって同意があるものとした原審の判断には違法があるとした。