信託法の条文ポイント

第21条(信託財産責任負担債務の範囲)


1 次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。

(1)受益債権

(2)信託財産に属する財産について信託前の原因によって生じた権利

(3)信託前に生じた委託者に対する債権であって、当該債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする旨の信託行為の定めがあるもの

(4)~(9)(省略)

2 信託財産責任負担債務のうち次に掲げる権利に係る債務について、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う。

(1)受益債権

(2)(省略)

(3)前2号に掲げる場合のほか、この法律の規定により信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものとされる場合における信託債権

(4)信託債権を有する者(以下「信託債権者」という。)との間で信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う旨の合意がある場合における信託債権

(ポイント解説)
 1項に掲げられている権利に係る債務から、2項に掲げられている権利に係る債務を除くものについては、信託財産に属する財産と固有財産に属する財産が、ともに、責任財産となる。

 信託財産責任負担債務となるか否かは、信託財産に対する強制執行(23条)、受託者の倒産(25条)、信託財産の破産(破産法244条の2以下)、限定責任信託(216条以下)、相殺(22条)等において意味をもつ。

 受益債権とは、「信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権」である(2条7項)。